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声明
抗議声明   2013年4月26日
抗議声明
 本日(4月26日)、濱崎勝次さん(64歳:東京拘置所)と宮城吉 英さん(56歳:東京拘置所)に死刑が執行されたことに対し、 強く抗議する。

 谷垣禎一法務大臣による死刑執行は、就任後2か月たらずの2月21 日に続き、2か月の間隔で2度目である。

2006年に発足した第一次安倍政権では、1年たらずの間に当時の長 勢甚遠法務大臣によって3次にわたり10名もの死刑執行が行われた が、第二次安倍政権による2か月間隔のハイペースな執行は、大量死刑 執行時代の再来を懸念させる。

 2005年の事件で共犯関係にあった宮城さんは2009年6月に最 高裁で死刑判決が確定、濱崎さんに至っては1年4か月前の2011年 12月に確定したばかりである。谷垣法務大臣は、本日の臨時会見で 「事実関係を精査した」と述べたというが、死刑の執行にあたっては慎 重にも慎重な検討が必要なのであって、谷垣法務大臣の拙速な判断は厳 しく非難されなければならない。

 死刑は、国家による殺人を肯定するものであって、応報感情を社会に 蔓延させるきわめて有害かつ危険なものである。死刑には犯罪抑止の効 果はなく、また、被害者の救済や社会の平穏にも資するものではない。 また、死刑は人道と民主主義に反する。

 日本政府は、国連はじめ国際社会の死刑廃止、死刑執行停止の声に耳 をふさぎ続けている。第二次安倍政権は外交問題で近隣諸国との摩擦を 大きくし孤立への道を歩んでいるが、このまま死刑制度を存置し、死刑 執行を続けるならば人権問題においても、早晩、日本政府は国際社会か
ら孤立してしまうだろう。
 日本政府および法務省は、死刑廃止の国際世論に真摯に向き合い、死 刑が恥ずべき誤った刑罰であることを認め、ただちに死刑執行を停止す べきである。

 私たちは、死刑の廃止を願う多くの人たちとともに、また、谷垣法務 大臣に処刑された濱崎勝次さん、宮城吉英さんに代わり、そして、死刑 執行という苦役を課せられている拘置所の職員に代わって、谷垣法務大 臣に対し、強く、強く抗議する。


2013年4月26日

死刑廃止国際条約の批准を求 めるフォーラム90
抗 議 声 明   2013年2月21日
 本日(2月21日)、小林薫さん(44歳:大阪拘置所)加納惠
喜さん(62歳:名古屋拘置所)金川真大さん(29歳:東京拘置所)
に死刑が執行されたことに対し、強く抗議する。

 谷垣禎一法務大臣は、就任後わずか2か月も経過していない段階で、
3人もの死刑を執行した。十分な記録の検討もされないままの拙速を極
めた執行であり、死刑の執行は慎重でなければならないとする刑法・刑
訴法の精神に反するものであって、厳しく非難されなければならない。
 小林薫さんは控訴をせず死刑が確定しているが、三度目の再審請求を
準備中だった。金川真大さんは控訴を自ら取り下げて死刑が確定してい
る。2人とも三審の裁判を受ける権利を保障されていない。加納惠喜さ
んは、一審では無期懲役の判決で、二審で死刑に逆転してい
て、弁護人が再審請求を行う直前の執行だった。

 3人とも、死刑執行は当然回避されるべきケースであった。
 死刑は、国家による殺人を肯定するものであって、きわめて危険なも
のであるばかりか、応報感情を社会に蔓延させるきわめて有害な
ものである。死刑には犯罪抑止の効果はなく、また、被害者の救済や社
会の平穏にも資するものではない。死刑は人道と民主主義に反する。

 私たちは、死刑の廃止を願う多くの人たちとともに、また、谷垣法務
大臣に処刑された小林薫さん、加納惠喜さん、金川真大さんに代
わり、そして、死刑執行という苦役を課せられている拘置所の職員に代
わって、谷垣法務大臣に対し、強く、強く抗議する。

死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラ ム90
小川法相による今回の死刑執行に関しては、即日、多くの団体からの抗議声明があがっています。 ここでは「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム 90」の声明を紹介します
抗 議 声 明
本日(3月 29 日)、松田康敏さん(44 歳 : 福岡拘置所)古澤友幸さん(46 歳:東京拘置所)上部 康明さん(48 歳:広島拘置所)に死刑が執行されたことに対し、強く抗議する。
2010 年7月 27 日から1年8ヶ月間、3人の法務大臣によって、死刑執行停止状態が継続され、 法務省内では、死刑の是非を巡って勉強会が続けられてきた。そして、この勉強会がきっかけとなっ て、死刑制度について政府や国会だけでなく、広く社会一般に議論が広がることが期待されていた。
しかるに、小川敏夫法務大臣は、十分な議論もまったくないまま、検察・法務官僚に指示される ままに勉強会を終了させ、死刑を再開した。これは、官僚主導を廃し政治主導の政治を目指すとい う民主党政権のマニフェストに真っ向から反するものであって、およそ許されないことである。 また、就任後わずか2ヶ月間しか経過していない段階での十分な記録の検討もされないままの拙 速を極めた執行であり、慎重のうえにも慎重でなければならないという法務大臣の職責を放棄する ものであって、強く非難されなければならない。
小川法務大臣は、死刑執行後の記者会見で、「刑罰権は国民にある。国民の声を反映するという 裁判員裁判でも死刑が支持されている」と述べたが、これはまったくの誤りである。死刑の是非は、 国民の支持・不支持によって決められるものではない。民主主義の理念と人道主義のもとに高度な 政治的な判断によって決められるべきものである。
上部さんは、一審の段階で心神耗弱の精神鑑定が出されていた。松田さんも知的に限界級と鑑定 されていた。いずれも責任能力の有無について、死刑の判決の是非が問われていたケースである。 とりわけ、松田さんの場合は、弁護人に再審請求を依頼し、弁護人もその準備に着手していた。上 部さんは、再審弁護人との接見において秘密交通権が保証されていないことに対して、これを違法 として国賠訴訟を提起したこともあった。死刑執行は当然に回避されるべきケースであった。
死刑には犯罪抑止の効果はなく、また、被害者の救済や社会の平穏にも資するものではない。死 刑は人道と民主主義に反する。 私たちは、死刑の廃止を願う多くの人たちとともに、また、小川法務大臣に処刑された松田さん、 古澤さん、上部さんに代わり、そして、死刑執行という苦役を課せられている拘置所の職員に代わっ て、小川法務大臣に対し、強く、強く抗議する。
2012 年3月 29 日
                        死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム 90
小川敏夫法相による 死刑執行に抗議する
死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム 90
(社)アムネスティ・インターナショナル日本
NPO 法人監獄人権センター
「 死刑を止めよう」宗教者ネットワーク 死刑に異議あり!キャンペーン

2012 年 4 月 5 日(木)19 時 00 分から 文京区民センター

資料

小川敏夫法務大臣による死刑執行に抗議する
NPO法人監獄人権センター
代表 村 井 敏 邦
事務局長 田鎖麻衣子 2012年3月29日
野田内閣の小川敏夫法相は本日(3月29日)、古澤友幸さん(東京拘置所)、上部康明さん(広島拘置所)、松田康敏さん(福岡拘置所)の3名に対し、死刑を執行した。今回の執行は小川法相が2012年1月に就任して以来、初めての死刑執行で、民主党政権下では2010年7月28日の千葉元法務大臣による死刑執行以来、1年8カ月振り2度目の執行となった。
政権党である民主党はその「政策インデックス2009」において、次のように掲げている。「死刑存廃の国民的議論を行うとともに、終身刑を検討、仮釈放制度の客観化・透明化をはかります。死刑制度については、死刑存置国が先進国中では日本と米国のみであり、EUの加盟条件に死刑廃止があがっているなどの国際的な動向にも注視しながら死刑の存廃問題だけでなく当面の執行停止や死刑の告知、執行方法などをも含めて国会内外で幅広く議論を継続していきます。」

小川法相「職責果たすべきと考えた」
小川法務大臣は、記者会見で、「世論調査で大半の人が死刑を支持していることや、法律の規定などから、職責を果たすことが大臣としての務めだと考えて3人の刑を執行した」と述べました。
また、小川大臣は、おととし7月以降、死刑が執行されていなかったことについては、「それぞれの大臣が考えてのことなので、私が論評すべきことではない」と述べました。

その後、2011年10月、衆議院内閣委員会において、藤村修官房長官は、平岡秀夫前法相が死刑執行に慎重姿勢を示していることに関し、「野田内閣において死刑を廃止する方針はまったくない」と表明し、平岡大臣にかわり2012年1月に就任した小川法相は、「大変辛い職務ではあると思うが、職責をしっかりと果たしたい」と死刑執行に積極的な発言をしてきた。これらは民主党の政権公約に反するばかりか、死刑廃止に向かう国際的な潮流にも逆行するものであった。
さらに法務省では2010年8月より2011年11月まで「死刑の在り方についての勉強会」を開催してきたが、小川法相は2012年3月に打ち切りを決め、報告書を公表した。報告書では「死刑制度の存廃に関する主張については、廃止論と存置論で大きく異なっており、そしてそれぞれの論拠については各々の哲学や思想に根ざしたものであり、一概にどちらか一方が正しく、どちらか一方が誤っているとは言い難いものであるように思われる」としながら、他方で、勉強会では死刑冤罪被害者からの意見を聴取しないなど極めて不十分なものであり、敢えて打ち切りを強行したことは、執行準備のための措置であったと言わざるを得ない。
死刑廃止は今や国際的な趨勢である。これまでに国際人権基準の審査において、再三にわたり日本の死刑制度について勧告等を受けており、国連総会も繰り返し死刑廃止を視野に入れた死刑執行停止を求めている。2010年7月以来の死刑執行の事実上の停止状態は国際的に高く評価されていたところであり、今回の死刑執行は国際人権基準から見た日本の評価を失墜させることになった。
監獄人権センターは今回の死刑執行に強く抗議するとともに、死刑執行の停止、そして死刑制度廃止の政策的実現に向け、今後も取り組んでいく決意である。
以 上