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抗 議 声 明 2013.9.12
 本日(9月12日)、熊谷徳久さん(73歳:東京拘置所)に死刑が執行されたことに対し、強く抗議する。

 谷垣禎一法務大臣による死刑執行は、3度目であり、約3ヶ月に1回の執行という死刑に積極的にしてかつ死刑の執行に痛痒を感じない法務大臣であると断ぜざるを得ない。

 今回の事件は、一審無期懲役であり、控訴審で死刑となったものであって、二重の危険の禁止原則に反して検察官が控訴したものであり、また裁判所でも意見が分かれ全員一致という死刑適用の原則に反するものであった。とりわけ、死亡被害者一人の事件であり、しかも自首をしており、過去の死刑の量刑基準からして重きに過ぎる量刑であるばかりか、既に73歳という高齢であることからして再犯のおそれも小さく、法務大臣としては、死刑は差し控えるべきであり、恩赦により無期懲役に減刑することによって十分に対応できるものであった。

死刑執行後の記者会見で、再審の事由や死刑執行停止の事由について精査したと述べているが、確定後2年半という拙速を極める死刑執行であり、熊谷さん自身は、2011年に私たちが行ったアンケートに対して「再審や恩赦についてについて、今後する予定」と回答しており、明らかに再審の機会と権利を、そして贖罪により赦される権利を奪う執行であったと言える。

 死刑は、国家による殺人であり、殺人を肯定するものであって、応報感情を社会に蔓延させるきわめて有害かつ危険なものである。死刑には犯罪抑止の効果はなく、また、被害者の救済や社会の平穏にも資するものではない。また、死刑は人道と民主主義に反する。

 日本政府は、国連はじめ国際社会の死刑廃止、死刑執行停止の声に耳を閉ざし続けている。今回の執行も、法務大臣及び首相の外遊などがすべておわり、オリンピックの招致も確定した後での死刑執行であり、明らかに諸外国からの死刑制度に対する非難を受けない時期を選んでの執行であることは明白である。
 法務大臣は8月、就任後最初の海外視察と称してルーマニアとフランスを訪れ、司法関係者との意見交換や、刑務所等の行刑の現場の視察を行ったという。フランスは1981年に、ルーマニアは1989年に政治的決断によって死刑制度を廃止している。法務大臣は、これらの国々の経験に学び、死刑廃止に向けて政治的決断をすべきである。

 私たちは、死刑の廃止を願う多くの人たちとともに、また、法務大臣に処刑された熊谷徳久さんに代わり、そして、死刑執行という苦役を課せられている拘置所の職員に代わって、法務大臣に対し、強く、強く抗議する。


2013年9月12日

     死刑廃止国際条約の批准を求める
                   フォーラム90

再審無罪となった元死刑囚が国民年金を受給できる特例法成立 2013年6月19日
死刑執行に抗議する!!
安倍政権、弾劾!谷垣法務大臣、糾弾!!            2013年4月26日
死刑執行に抗議する!!
安倍政権、弾劾! 谷垣法務大臣、糾弾!!
 
 また、この国で死刑の執行がありました。2人の死刑囚が、東京拘置所絞首台で殺されました。
私たちは、死刑執行に対して強く抗議します!誰の命も政府が奪ってはならないと訴えます!
 本日、2013年4月26日、安倍政権は2度目の死刑執行を強行したのです。濱崎勝次さん(64)と宮城吉英さん(56)の2人が死刑執行の名の元に命を絶たれました。
 今年2月21日に、発足からわずか2カ月の安倍政権が3人もの死刑執行を行った時には驚愕し震えました。谷垣法務大臣には、3人の死刑囚の裁判資料などを調査するのに十分な時間があったのだろうか? その執行に対して国内からはもちろん、海外からも非難の声があがりましたが、谷垣法相は、「国民の多数の支持を得ている。」と述べ、死刑執行があるのは私たちのせいであるとされたのです。一国の法務大臣でありながら、なんと卑怯な発言でしょうか?
 安倍内閣は、たった4ヶ月の間に5人もの命を奪いました。この内閣は、このまま2ヶ月ごとに死刑執行を続けるつもりなのでしょうか?以前に同じ自民党の法務大臣が、「ベルトコンベヤーのように」死刑執行したらいいような発言をして非難を浴びましたが、安倍内閣は、黙って、それを実行しています。
 今、安倍政権は、「中国、朝鮮国と領土争いになっている」と主張し、武力を増強し、憲法を改悪し、徴兵制を画策し、正に戦争のできる国作りを進めているところです。
 そして、国内では、死刑執行によって、犯罪を抑止できるかのような幻想を、人々に植え付けようとしているのではありませんか?国内的にも海外から見ても「強い国」を目指しているのではありませんか?しかし、「死刑制度に犯罪抑止効果がある」と科学的に証明されたことはありません。むしろ、死刑執行の乱発によって、人の命の尊厳が失われ、暴力肯定の社会基盤が整い体罰や虐待が当たり前の社会になってきていると感じられます。

 死刑制度は、「殺人者」を削除する制度ではあっても、犯罪を減らすことには何の役にも立っていません。犯罪を減らすためには、社会にある差別や偏見をなくし、貧困などで人が追い詰めらられないような社会を作っていくことが重要です。しかし、誰かが犯罪を犯してしまったら、その犯罪の「なぜ」「どのようにして」を解明し、再び、犯罪が起こらないように地道な努力が必要です。被害者の救済にも力を尽くさなければなりません。被害者の悲しみや様々な困難を被害者だけに負わせるのではなく社会も背負っていくべきなのです。死刑囚一人の命と被害者とその遺族の人生を引き換えにすることでは何も解決できません。
 全ての命が尊く、かけがえのないものなのです。死刑囚の命も同じです。生きて考える時間を下さい。死刑囚に反省の機会を下さい。死刑は、死刑囚から反省の機会を奪います。生きて償わせて下さい。       

死刑廃止・タンポポの会(福岡市博多区綱場町9-28-703)   

死刑執行に強く抗議し、改めて死刑執行を停止し死刑廃止について全社会的議論を開始することを求める会長声明
2012年(平成24年)9月27日
 本日、福岡、仙台の各拘置所において、それぞれ1名に対する死刑の執行が行われた。本年8月3日の2名に対する執行に続き2か月続けての執行の強行は、極めて遺憾な事態であり、当連合会は改めて死刑執行に強く抗議する。

 当連合会は、本年6月18日、滝実法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を直ちに講じることを求める要請書」を提出して、国に対し、直ちに死刑の廃止について全社会的な議論を開始し、その議論の間、死刑の執行を停止することを改めて求めていた。この要請を無視しての2か月連続の死刑の執行は到底容認できない。

 死刑の廃止は国際的な趨勢であり、日本政府は、国連関係機関からも繰り返し、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう勧告を受けてきた。しかし、本年3月、小川敏夫法務大臣(当時)は、「死刑制度の在り方についての勉強会」を終了させたのに続き、同月29日には、1年8か月ぶりとなる死刑の執行を3名に対して行った。そして、後任の滝法務大臣は「一つ一つの案件をどう判断するか考えて、職責を果たす。」との発言のもとに短い任期の間に4名の刑を執行したものである。

 しかし、死刑をめぐる議論と切り離して死刑執行がなされるべきではなく、ましてや死刑に関する議論を明らかにしないまま執行すべきではない。政府は直ちに死刑の執行を停止した上で、死刑に関する情報を広く国民に公開し、国会に死刑問題調査会を設置し、法務省に有識者会議を設置する等の方策をとることによって広く国民的な議論を行うべきである。

 よって、当連合会は、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、改めて死刑執行を停止し、死刑制度の廃止について全社会的議論を直ちに開始することを求めるものである。

死刑代案:日弁連委、終身刑の導入提言 仮釈放なし          毎日新聞 2012年09月06日
 日本弁護士連合会の死刑廃止検討委員会は、死刑の代替刑として仮釈放のない終身刑の導入を求める基本方針を決議した。日弁連の内部機関が終身刑の導入を求めるのは初めて。今後、日弁連全体の統一見解として提示できるか、執行部などで検討する。
 決議されたのは先月30日。内容は「死刑のない社会が望ましいことを見据え、わが国の刑罰制度を見直す」必要があるとし「死刑を廃止し死刑に代わる最高刑として仮釈放のない終身刑を導入する」ことを呼びかける。「死刑制度の廃止が検討されるまでの間、死刑の執行を停止する」ことも求める。
 仮釈放のない終身刑は日弁連内でも「社会復帰の可能性を閉ざす」との反対意見があり、基本方針は「恩赦」による釈放の余地も残している。
 日弁連は08年、超党派の国会議員グループが主張する終身刑の導入に「無期刑の事実上の終身刑化をなくし、死刑の存廃について検討せず、新たに終身刑を創設することに反対する」との意見書を出していたが、死刑廃止に向けたステップとして、初めて終身刑の導入方針を打ち出した。
 死刑廃止検討委員会は、日弁連が昨年10月の人権擁護大会で「死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を採択したことを受けて発足した。
 日弁連によると、海外の死刑廃止国では、オランダが恩赦の余地を残した「仮釈放のない終身刑」を採用しているほか、ドイツと英国が仮釈放や有期刑への変更の可能性もある「終身刑」を導入している。【伊藤一郎、長野宏美】

再審ができなかった二人への滝実法相による死刑執行に抗議する院内集会 集 会 決 議
 さる8月3日、滝実法務大臣は、服部純也さんと松村恭造さんの2名に対する死刑執行を行った。
 私たちは、この死刑執行に強く抗議する。

 滝大臣は執行直後の記者会見において「えん罪の有無とかそういうものが重大な事実として認められない限り、やはり裁判所の決定、裁判というものを尊重する立場は、法務大臣として貫かなければならない」と述べ、この2名が「えん罪の危険性のない人」であることを理由に死刑執行命令を下したようであるが、百歩譲って滝大臣の論理に基づいたとしても、果たしてこの2名の死刑の執行が正当化できるのかについて私たちは疑わしいと考える。

服部純也さんは、一審無期懲役であり、二審で死刑判決に転じ、これが確定した。一審裁判所は、検察の死刑求刑に対し、不遇な生い立ちや計画性のなさなどに着目し、死刑は相当ではないと判断した。ところが二審はこの一審判決を覆し、「犯行の残虐性」という犯罪の結果を強調し死刑判決を下したのである。この確定判決の量刑は妥当なものといえるのだろうか。果たして服部純也さんに更生の可能性はなかったのか。
松村恭造さんは、一審死刑判決の後、自ら控訴を取り下げ死刑が確定した。滝大臣は、会見で「裁判所が一審、二審あるいは三審という形で、裁判官がそれぞれの段階で死刑判決を書くに当たっては、相当な御苦労をされているわけです」と述べているが、松村恭造さんは二審以降の判断を受けていない。1984年の国連による「死刑に直面する者の権利の保護の保障に関する決議」が、すべての死刑事件を必要的に上訴できるようにすべきとしているように、死刑事件においては特段の被告人の権利保障が必要である。日本においては、絶望的な裁判過程のために上訴を被告人本人が取り下げる場合が少なくない。松村さんもそうである。松村さんに、憲法上の「裁判を受ける権利」が十分に保障されていたといえるのだろうか。

 また、服部純也さんと松村恭造さんは、不当な確定判決に対して再審請求する意向を示しており、拘置所も当然このことを把握していた。滝大臣は、今回の被執行者に再審請求中の者はいないと明言したが、死刑執行の審査にあたっては、当然、再審をしようとする者についても考慮がなされなければならない。
 果たして、法務大臣は、この二人が再審しようとしていたことを知っていたのか。 

 滝大臣は、幼少時から「納得できないことはしない」というのが信念であるのだという。その滝大臣は、さる8月8日、死刑廃止を訴える市民団体との面談の場で「私も学生の頃は死刑廃止だった」と発言した。加えて滝大臣は、「袴田巌死刑囚救援議員連盟」の発足時からのメンバーでもあり、野田政権で副大臣を務めている際にも同議連の会員であった。
滝大臣に問いたい。いつから死刑存置の考えになったのか。今回の死刑執行は「納得できること」なのか。
また、滝大臣は、出身官庁である自治省時代に官僚の限界を感じて政界入りしたという経緯があるという。2005年の郵政選挙の際に自民党から公認を得られず、新党日本から出馬して以降、滝大臣は活発に官僚批判を続けてきた。
滝大臣は、6月の就任直後から死刑執行を検討してきたというが、死刑執行の継続、死刑制度の存置こそ法務・検察官僚の強固な意思にほかならない。滝大臣は8月3日の会見で「裁判所の結論は尊重しなければならない」とも述べたようであるが、裁判所や法務省の誤った判断を政治的な観点から正すことこそが、刑訴法475条1項に法務大臣の判断を係らしめている所以であり、それこそが法務大臣の職責である。
滝大臣は、自らの信念や政治信条を枉げ、法務・検察官僚に導かれる形で死刑執行に踏み切ったといえるのではないか。
 以上のことから、滝大臣による今回の死刑執行は、法務大臣の職責を放棄したものといわざるをえない。

私たちはいかなる死刑判決、死刑執行も認められないという立場から、滝実法務大臣による死刑執行に改めて強く抗議する。

2012年8月27日

再審ができなかった二人への滝実法相による死刑執行に抗議する院内集会
参加者一同
滝実法務大臣による死刑執行に抗議する
関連記事 日弁連抗議声明 監獄人権センター
抗 議 声 明

 本日(8月3日)、服部純也さん(40歳:東京拘置所)松村恭造さん(30歳:大阪拘置所)に死刑が執行されたことに対し、強く抗議する。

 滝実法務大臣は、就任後わずか2か月も経過していない段階で、死刑を執行した。十分な記録の検討もされないままの拙速を極めた執行であり、慎重のうえにも慎重でなければならないという法務大臣の職責を放棄するものであって、強く非難されなければならない。

 服部さんは、一審の判決は無期懲役で、二審で死刑に逆転した。松村さんは自ら控訴を取り下げて死刑が確定した。フォーラム90が昨年行ったアンケートに、服部さんは、再審請求を行いたいが、外部交通が認められていた再審の支援者が亡くなった後、別の支援者との外部交通が許可されないので困っているという回答を寄せていた。また松村さんは、精神的に落ち込んでいてあきらめていたが、再審請求をしてみたいと書いていた。

 死刑執行は当然回避されるべきケースであった。

 死刑には犯罪抑止の効果はなく、また、被害者の救済や社会の平穏にも資するものではない。死刑は人道と民主主義に反する。

 私たちは、死刑の廃止を願う多くの人たちとともに、また、滝法務大臣に処刑された服部さん、松村さんに代わり、そして、死刑執行という苦役を課せられている拘置所の職員に代わって、滝法務大臣に対し、強く、強く抗議する。

             2012年8月3日
             死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラ ム90
服部純也さん(40歳) 東京 三島女子短大生焼殺事件 (02.01.23)
1972年2月21日生まれ
静岡地裁沼津支部 無期懲役 05. 3.29
東京高裁 死刑 08. 2.29
最高裁  02. 1.22

松村恭造さん (31歳) 大阪  京都・神奈
川親族連続強殺事件(07.1.16/1.23)
1981年8月3日生まれ
京都地裁 死刑 08. 3. 17
控訴取り下げ  08.4.8
控訴審再開請求10.1、5月に最高裁で棄却。
恩赦出願 10.6.2、不相当11.9.13

勝間和代「死刑は廃止しなくては」 死刑事件を請け負う弁護人追ったドキュメンタリーで決意新たに
                                   シネマトゥデイ 写真ギャラリー
 [シネマトゥデイ映画ニュース] 9日、ポレポレ東中野で映画『死刑弁護人』公開記念鼎談が行われ、映画監督で作家の森達也を司会に、経済評論家の勝間和代、弁護士の安田好弘氏らが日本の死刑制度について語り合った。
映画『死刑弁護人』公開記念鼎談写真ギャラリー
 本作は、オウム真理教事件の麻原彰晃、和歌山毒カレー事件の林眞須美、光市母子殺害事件の元少年など、死刑判決の下った事件を担当し、凶悪事件を起こした者たちの弁護人として、世間から激しいバッシングを集め続けてきた弁護士の安田氏に密着したドキュメンタリー。
 大のマスコミ嫌いで、テレビでは険しい顔を見せることが多い安田氏だが、この日は穏やかな笑顔。森が「テレビでは記者を睨みつけて、罵声を浴びせるのに、こんな笑顔は珍しい」とちゃかすと、「法廷では一生懸命だから。何もわかっていない記者にはこの野郎と思うし、そんな記者のために何でこっちが記者会見をしないといけないんだと。あれ(記者会見)は苦役ですよ。笑ってなどできない」と苦笑い。
 一方、本作ついて、カレー事件の林眞須美が、直接証拠でなく間接証拠のみで追い込まれていったという描写に触れた勝間は、「元厚労省局長の村木(厚子)さんや、ホリエモン(堀江貴文)はお友達なので、さまざまな犯罪がでっち上げられるんだということは知っていましたが、それが死刑につながるかもしれないなんて。わたしたちがそういうことをされるかもしれないということを、どれくらいの国民が理解しているんだろうと。だからこそ安田さんが必要だし、死刑は廃止しなくてはいけないと強く思いました」と振り返る。
 死刑廃止論者は「自分の家族が殺されても言えるのか」という反論にさらされるが、勝間は「それでもわたしは(死刑廃止と)言います。死刑が犯罪の抑止力に何の役にも立たないからです。死刑の問題が感情的なところで議論されていることに、きちんと向き合わないと」と決意を語った。また安田氏は「死刑というのはきわめて政治的な問題なんです。死刑を手放さないのは、検察が国民をどう喝するシステムを手放したくないから。でも世界の3分の2を超える国が廃止している。犯罪被害者の支援を手厚くし、犯罪防止のシステムを作るなど、政治家が、もっと言えば官僚が考えれば(死刑廃止は)簡単にできることなんです」と付け加えた。(取材・文:壬生智裕)
映画『死刑弁護人』はポレポレ東中野で上映中
死刑判決の割合、戦後混乱期並みに…最高裁調査                 読売オンライン
 最高裁の司法研修所は23日、裁判員制度導入前の死刑判決の傾向などを調査した初の研究報告をまとめた。

 殺人事件の起訴に対する1審での死刑判決の割合は、この20年で4倍近くに上昇。戦後の混乱期並みとなり、厳罰化の傾向を顕著に示した。一方、殺人や強盗殺人事件で死亡した被害者が1人の場合、死刑が求刑されても死刑確定は3割にとどまることなどが明らかになった。
 研究報告は刑法学者と裁判官3人が担当。死刑については、裁判官が積み重ねてきた量刑判断を尊重する必要性が高いとし、判断傾向を詳細に調査した。調査結果を踏まえた評議を裁判員らに促す狙いがある。
 終戦直後から裁判員裁判導入までの1946?2009年を対象に、起訴人数に対して1審で死刑判決を受けた人数の割合を10年ごとに調査。殺人事件では46?54年が1・02%だったが、55?94年は0・25%前後で推移。95?04年に0・63%、05年以降は0・99%と20年前の4倍となっていた。
(2012年7月23日19時24分  読売新聞)

関連記事 NHKニュース

「死刑弁護人」素顔に肉薄 安田弁護士との1年を映画化                 朝日新聞
 オウム真理教事件や和歌山カレー事件など死刑事件の弁護を数多く引き受ける安田好弘弁護士(64)の素顔を初めてカメラがとらえた。東海テレビが密着取材した番組は、文化庁芸術祭でテレビ・ドキュメンタリー部門優秀賞に。映画化もされ、「死刑弁護人」として上映が始まった。
 仕事の合間、過去の死刑囚とのやりとりを振り返るシーン。恩赦請求中に執行された男性の手記を手に、「毎日、彼に会いに行けば状況を変えられたかもしれない」と目頭を熱くする表情をアップで映す。かみしめるように語る言葉や目の動きを見てほしいと、テロップは一切つけなかった。
 2010年8月から1年間、40分テープ300本分を撮影。安田弁護士は光市母子殺害事件の上告審などで駆け回り、ほぼ事務所で寝泊まりしていた。
 安田弁護士は取材をほとんど受けない。映画の中で言う。「取材に応じることは『悪人』である被告をバッシングするための話題提供にすぎない」
 しかし東海テレビが、地元の名張毒ブドウ酒事件で知り合った弁護士を通じて光市事件の弁護団会議の撮影を依頼すると、安田弁護士は「信頼できる人なら」と受けたという。東海テレビの斉藤潤一監督(44)は「報道が過熱する中、会議や活動の全てを撮り続けるメディアを探していたようだ」と話す。
 会議を取材し始めたのは07年8月。以後、徐々に信頼関係を築いていった。当初は安田弁護士に批判的だった斉藤監督だが、印象はがらりと変わっていた。「事件が二度と起きないように、真相追求だけを考えた人。どんなにバッシングされようが関係ない。信念を貫く姿は尊敬に値する」
 映画で訴えたいのは司法のあり方だ。「死刑になってしまえば、どんなに大騒ぎしていてもあっという間に忘れ去られていく。裁判は罰するだけで終わっていいのか。執行まで寄り添う姿を見て考えて欲しい」
 東京のポレポレ東中野などで上映中。全国で順次公開される。(江戸川夏樹)
袴田事件を講談に                                   東京新聞
在任中に死刑執行をしなかった法務大臣経験者らを含む日本弁護士連合会の調査団が、14年前から死刑執行が停止されている韓国を視察に訪れました。
<死刑執行>決裁は2ルート 手続きの詳細判明       毎日新聞
 09年以降に死刑を執行された12人について、刑の確定後から執行後までの手続きの詳細が判明した。毎日新聞の情報公開請求に対し、法務省が同年以降の死刑執行命令書を含む9種類の関連文書を開示(一部不開示)した。決裁者など死刑執行の流れが分かる一連の文書がまとめて公になるのは初めて。執行命令書に法相は署名せず、法相公印も事務方が押していることや、二つのルートで決裁を得る必要があることなども分かった。

 従来、報道を中心に「法相が死刑執行命令書に署名(サイン)」との表現がしばしば用いられたが、開示された文書によると、法相の署名は執行命令書ではなく、「死刑事件審査結果(執行相当)」と題された別の決裁文書にあった。執行命令書には印字された大臣名の脇に公印が押されていたが、法務省刑事局は「一般論として大臣の公印は秘書課長の指示を受けた部下が押す」と説明。法相自身は執行命令書に押印もしていなかった。

 執行に至る決裁ラインは(1)前出の「死刑事件審査結果」に法相と副法相が署名し、事務次官や刑事局長など法務官僚5人が押印する「刑事局ルート」(2)死刑囚を収容する拘置所を管轄する同省矯正局と、死刑囚が減刑などを求める恩赦を扱う同省保護局の幹部ら計6人が、実質的な起案書である「死刑執行について」と題された文書に押印する「矯正・保護局ルート」??の二つがあり、計13人が関与していた。

 起案や審査、決裁、命令に関する文書は同じ日付(執行はその2?4日後)で、起案から執行までの手続きが迅速に進められている実態も浮かんだ。

 今回開示されたのは執行年別に09年7人、10年2人、12年3人の関連文書。今年4月初旬、前月に執行された3人の執行命令書と起案書、指揮書の開示と、09?11年の死刑に関する文書の開示を求めたところ、5月初旬までに開示決定が出された。11年は19年ぶりに執行がなかったため、文書が存在しなかった。計282枚が開示され、全面開示が58枚、一部が黒塗りされた部分開示が77枚、全ページ黒塗りの全面不開示が147枚だった。

 死刑執行の関連文書を巡っては、東京の弁護士らが03年以前分の開示を求めたケースがあるが、ほぼ全般にわたって不開示とされたため、05年に開示を求めて提訴。09年に敗訴が確定した。09年にはインターネットのサイト運営者が、開示されたとする08年の執行命令書をネット上で公表したことがある。【伊藤一郎】

 ◇<開示された9種類の死刑執行関連文書>

(1)死刑執行上申書(2)死刑執行について(起案書、または決裁文書)(3)死刑事件審査結果(4)死刑執行命令書(5)受領書(死刑執行命令)(6)死刑執行指揮書(7)死刑執行報告書(8)訴訟記録の返還について(9)受領書(訴訟記録)

 ◇弊害も考慮を

 小川敏夫法相の話 基本的に開示に賛成だが、それに伴い生じる弊害は考慮すべきだ。執行された方や遺族の名誉、プライバシーに配慮しなければならない面がある。また、刑の執行に関して具体的なことがあまりにも明らかになった場合、未執行者の心情を不安定にする。ことさら残酷なことをしているわけではないので、(不開示部分は)都合の悪いことを隠しているわけではない。

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死刑執行文書開示:死刑順序 基準は闇
法務省:死刑執行方法を検討 政務三役会議

名張毒ぶどう酒事件:奥西死刑囚の再審開始を認めず      毎日新聞
三重県名張市で1961年に起きた「名張毒ぶどう酒事件」20+件の第7次再審請求差し戻し審で、名古屋高裁刑事2部の下山保男裁判長は25日、殺人罪などで死刑が確定した奥西勝死刑囚(86)の再審開始を認めた高裁刑事1部決定(05年)を取り消す決定を出した。差し戻し前の高裁2部決定(06年)に続き、検察側の異議を認めた。ぶどう酒に混入された凶器の農薬が、奥西死刑囚の自白した「ニッカリンT」か否かが最大の争点で、下山裁判長はこの農薬の鑑定結果に関し「混入農薬がニッカリンTではないことを意味しないことが明らか」と判断した。【山口知、沢田勇】
 下山裁判長は、高裁1部決定の刑の執行停止も取り消した。発生から半世紀、死刑確定から40年を経た事件で、開きかけた再審の門は再び閉ざされた。弁護側は特別抗告する方針で、審理は再び最高裁に移る。特別抗告期限は今月30日。
「死刑容認85%」ホント? 廃止議連が世論調査批判       朝日新聞
 本当に国民の8割以上が死刑制度を容認しているのか??。
かねて「設問が誘導的」と批判がある政府の世論調査について、超党派の国会議員でつくる死刑廃止議員連盟(亀井静香会長)が17日、法務省幹部に改めて考えをただした。幹部は「誘導とは思わない」と説明したが、議連側はなお「世論をミスリードしている」と問題視している。

 死刑をめぐる政府の世論調査は、直近では2009年12月に内閣府が実施し、10年2月に結果が公表された。「あなたはどちらの意見に賛成ですか」との問いに用意された選択肢は(1)どんな場合でも死刑は廃止すべきである(2)場合によっては死刑もやむを得ない(3)わからない??の三つ。回答は(2)が85.6%と圧倒的で、政府はこの結果を根拠に「国民の大半が支持している」(小川敏夫法相)としている。

 議連の17日の会合では、メンバーから「『どんな場合でも』や『やむを得ない』という表現はあまりにも誘導的。明らかに容認派が多くなる」との意見が相次いだ。一方、同省刑事局の幹部は「複数の専門家に意見を聞いており、誘導とは思わない」と説明。今後、表現を変更しないのか問われたが、「検討する」と述べるにとどまった。

 死刑に関する調査は1956年から計9回実施された。94年以降は同じ表現が使われ、「容認派」は94年の73.8%から年々増加している。(田村剛)

法務省 刑事局刑事法制管理官 上富敏伸氏
局付 木解 清隆氏
袴田事件、死刑囚とDNA不一致 血液鑑定、再審請求で弁護側    東京新聞 
 強盗殺人罪などで死刑判決を受け、無実を訴えている袴田巌死刑囚(76)の第2次再審請求で、有罪の証拠となったシャツに付着した血痕が袴田死刑囚のものか調べていたDNA型鑑定結果について、弁護側が推薦した鑑定人が死刑囚とは一致しないとの結果を出したことが13日、分かった。検察側鑑定人はまだ結果を明らかにしていない。
 再審開始に向け、袴田死刑囚の弁護団は鑑定結果を評価。静岡地裁の判断が今後注目される。
 同地裁の委嘱を受けた鑑定人2人が3月、収容先の東京拘置所を訪れ、袴田死刑囚の血液を採取。DNA型を鑑定した結果が13日までに地裁に報告された。
(共同)
木嶋被告「物証なき死刑判決」への不信感
2012年04月13日 14:32
松永英明

首都圏の連続不審死事件で男性三人についての殺人罪に問われた木嶋被告が、裁判員裁判の結果、死刑となった。
しかし、報道などによると、裁判では直接証拠がなく、状況証拠のみによって「死刑」判決が下されたという。これをわたしは恐ろしいことだと思う??被告が実際に犯行を行なっていようといまいと。
わたしは殺人という行為を擁護するつもりはさらさらない。ただ、「状況証拠のみによる死刑判決」が下るという状況に、日本の裁判制度への不信を抱かずにはいられない。
続く
小川法相「職責果たすべきと考えた」
小川法務大臣は、記者会見で、「世論調査で大半の人が死刑を支持していることや、法律の規定などから、職責を果たすことが大臣としての務めだと考えて3人の刑を執行した」と述べました。
また、小川大臣は、おととし7月以降、死刑が執行されていなかったことについては、「それぞれの大臣が考えてのことなので、私が論評すべきことではない」と述べました。
小川敏夫法務大臣による死刑執行に抗議する
NPO法人監獄人権センター
代表 村 井 敏 邦
事務局長 田鎖麻衣子 2012年3月29日
 野田内閣の小川敏夫法相は本日(3月29日)、古澤友幸さん(東京拘置所)、上部康明さん(広島拘置所)、松田康敏さん(福岡拘置所)の3名に対し、死刑を執行した。今回の執行は小川法相が2012年1月に就任して以来、初めての死刑執行で、民主党政権下では2010年7月28日の千葉元法務大臣による死刑執行以来、1年8カ月振り2度目の執行となった。
政権党である民主党はその「政策インデックス2009」において、次のように掲げている。「死刑存廃の国民的議論を行うとともに、終身刑を検討、仮釈放制度の客観化・透明化をはかります。死刑制度については、死刑存置国が先進国中では日本と米国のみであり、EUの加盟条件に死刑廃止があがっているなどの国際的な動向にも注視しながら死刑の存廃問題だけでなく当面の執行停止や死刑の告知、執行方法などをも含めて国会内外で幅広く議論を継続していきます。」

小川法相「職責果たすべきと考えた」
小川法務大臣は、記者会見で、「世論調査で大半の人が死刑を支持していることや、法律の規定などから、職責を果たすことが大臣としての務めだと考えて3人の刑を執行した」と述べました。
また、小川大臣は、おととし7月以降、死刑が執行されていなかったことについては、「それぞれの大臣が考えてのことなので、私が論評すべきことではない」と述べました。
'12/2/20

「極めて不当」と弁護団 声明で最高裁判決批判

 光市母子殺害事件で上告が棄却され、死刑が確定する大月孝行おおつき・たかゆき被告(30)の弁護団は20日、「極めて不当。誤った判決を正すため、今後とも最善を尽くす」とする声明を発表した。
 弁護団は「被告に強姦ごうかん目的も殺意もないことは、客観的証拠や犯行再現実験などから科学的に明らかにされたが、裁判所は捜査段階の虚偽の自白などに基づき、判断を誤った」と批判。
 犯行時18歳1カ月だった被告について「幼児期からの虐待で成長が阻害され、実質的には少年法が死刑を科すことを禁じている18歳未満の少年だった」と指摘した。
 また、裁判官1人が反対意見を述べたにもかかわらず、上告を棄却した点を「死刑判決は全員一致でなければならないとする最高裁の不文律を変えるもので、強く非難されるべきだ」とした。
社説 北海道新聞(2月21日)
少年への死刑 厳罰化の流れ危惧する
山口県光市の母子殺害事件差し戻し上告審で、最高裁が被告の訴えを棄却した。犯行時に18歳30日だった被告の死刑が確定する。
 主婦を殺害して暴行、乳児の命も奪う残虐な犯行だった。社会に衝撃を与え、テレビや週刊誌が一般には理解しがたい被告の発言や事件の異様性を競って取り上げた。
 一、二審は無期懲役としたが、最高裁が「特に酌むべき事情がない限り死刑を選択するほかない」と高裁に差し戻して極刑判決に導くという、異例の展開をたどった。
 だが、犯行時の被告の精神的な未熟さや複雑な家庭環境など事件解明のカギを握る点について必ずしも十分な審理が行われたとは言い難い。
 立ち直りの可能性や少年への死刑の是非など、少年犯罪を裁く上でさまざまな課題を残したといえる。
 愛する家族を突然奪われた遺族の憤りは当然だろう。極刑を求める感情も理解はできる。
 だが、メディアやネットで量刑の不満や被告が殺意否認に転じたことへの批判が噴出、弁護団への中傷、懲戒請求など異常な事態が続いた。
 いかに凶悪な犯罪だろうと被告には公正な裁判を受ける権利がある。その権利や弁護活動が脅かされるのなら法治国家は成り立たない。
 最高裁は被告の犯行を「甚だ悪質で酌量の余地は全くない」と断定した。被告が殺意否認に転じたことも「不合理な弁解であり、真摯(しんし)な反省の情をうかがうことはできない」とし、18歳になったばかりだったとしても極刑は免れないとした。
 更生に主眼を置く少年法は、犯行時18歳未満への死刑を禁じている。一、二審が無期懲役としたのは、法の趣旨や判例に照らし合わせたからだろう。それと比べ、最高裁判決の厳しさに驚かされる。
 一部世論の高まりが判決に影響を及ぼしたことは否定できまい。
 更生の可能性を探るよりも、遺族感情への配慮と、年齢より犯行の悪質性を重く見る視点が、今後の裁判に影響を与えることが危惧される。
 4人の裁判官の中で宮川光治裁判官は「年齢に比べて被告の精神的成熟度は低く、死刑回避の事情に該当し得る」と指摘。審理を差し戻し精神鑑定の再評価を求めた。裁判官は少年の更生についても言及している。傾聴すべき指摘ではないか。
 厳罰化が犯罪の抑止につながるかどうかについても、専門家の間では意見が分かれている。
 海外では死刑の廃止国が存置国数を上回り、廃止の流れが強まっている。日本では世論調査ではまだまだ存続の声が多いが、未成年への適用はもとより、死刑をめぐる国民的論議も高めていくべきだろ