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2018年12月27日の死刑執行に対する抗議声明

2018年12月27日

【抗 議 声 明】

 本日(12月27日)の岡本啓三(旧姓河村)さん(大阪拘置所)、末森博也さん(大阪拘置所)に対する死刑執行に対し、強く抗議します。
今年は7月に13名という大量執行を行い、海外からの非難はもちろん、存置派が多い国内においても、その大量処刑に疑問の声があがったにもかかわらず、クリスマスに署名をし、年も押し迫った本日、更に2名の執行が行われたことに対し、私たちはその残酷さに恐怖を禁じ得えません。
私たちは、広く社会に向けて、あらためて、このような殺戮の繰り返しや、命を奪うことによっては、なに一つ問題は解決しないこと、そして終身刑の導入など、死刑を執行しなくてもよい施策を真剣に検討することを呼びかけます。

 安倍晋三内閣は、第一次で10名、第二、三、四次で36名,合計46名という過去最多の死刑を執行した内閣となりました。今後、安倍内閣が続く限り、いかなる法務大臣が就任しようとも、死刑の執行が連続的に行われる危険があります。
 山下貴司法務大臣が就任して、3カ月弱であり、その間国会では入管法改正論議が連日行われていたことを考えると、今回の執行に向けて二人の事件記録を精査する余裕などあるわけがなく、慎重さを欠く拙速な執行だったと言わざるを得ません。
とりわけ、今回処刑された岡本啓三さんは、4回目の再審請求中でした。憲法32条は、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利がある」と規定しており、再審請求中の執行はこの規定に真っ向から反するものであって、憲法違反の誹りを免れません。同時に,司法の判断を待たずして刑を執行するという司法権への侵害であって、およそ許されるものではありません。
また、岡本啓三さんは事件を深く悔いて、自分の犯した事件と自分の人生をとらえ返す作業を続けました。それが『こんな僕でも生きてていいの』という半生記となり、それは死刑廃止のための大道寺幸子基金第1回死刑囚の表現展で優秀作品賞を受賞しました。そのあとも自分と向き合い、『落伍者』『生きる―大阪拘置所・死刑囚房から』を上梓しています。
また仏教に帰依し、被害者の父親に詫び状を書き続け、返事をいただくまでになりました。
こうした反省の人生を獄中で20年以上送っている人を死刑執行することにどんな大義があるのでしょうか。
末森さんは、再審請求も恩赦出願も一切していませんでした。
 
 私たちは、死刑の廃止を願う多くの人たちとともに、また山下法務大臣に執行された岡本さん、末森さんに代わり、そして死刑執行という苦役を課せられた拘置所職員に代わって、山下法務大臣に対し、強く抗議します。

2018年12月27日

死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90

 

  2018年12月27日 14:00:00  [forum90]

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